まつもと市民芸術館では、文化庁の補助金により日本芸術文化振興会に設置された基金による「文化施設による高付加価値化機能強化支援事業」の一環として、当館舞踊部門芸術監督の倉田翠とともに新しい作品を作り出すことができる人材を育成し、グローバルに活躍するダンス作家/ 制作者を育成するプロジェクトを始動します。
滞在制作での地域にも開かれた活動を通じて、ハイレベル且つ独自の芸術文化を発信できる人材を育成し、2027年度以降には、本事業を通じて創作された作品を海外で上演することを目標とします。
私は、「作品をつくる」ということには正解がないと考えています。
指導する側にまわりはしますが、私自身も現役の一作家であり、作品をつくるということを続けてきた、また、続けて行きたい人間です。 ですから、ここに参加してくださる方々と、あーだこーだと考え、悩み、見て、動いて、共に切磋琢磨したいと思っています。
もちろん、指導者としてこれまでに自分が得てきた経験は共有していきますが、決して私のようにして欲しい、というわけではありません。
自身のやり方を見つけ、自由にこのプログラムを活用していただきたいです。
私は、作家に必要なのは、プロセスより衝動の方だと思っています。「作品をつくることがしたい」ではなく、「作品をつくらざるを得ない」という衝動の方です。 それぞれが持つ、その衝動の形をクリアにしていく時間にしていただければ幸いです。
また、大都市からだけでなく、松本のような地方都市からダイレクトに海外へ発信するために、アートマネージメント人材育成も同時にスタートいたします。
まつもと市民芸術館は、ここに集まってくださる方々に本気で賭けたいと思っています。覚悟を持って最後まで並走いたします。 そして、松本から世界に羽ばたく素晴らしい作品と出会えることを楽しみにしております。
まつもと市民芸術館芸術監督 倉田翠
ダンス作品をこれから発表して行きたい人(またはすでにしている人)に向けた、グローバルな展開を目指す滞在型プログラム。ダンス作品を作るためには社会(自分の外側)で起きていること、そして、そのこととダンスがどのようにつながっていくのかなど、ダンス以外のことにも目を向ける必要があります。稽古場の中だけで作るのではなく、とはいえ自分ととことん向き合いながら、作品を能動的に立ち上げ、ショーケースとして発表します。さらに、倉田翠も加わって、当館主催公演に繋げていく計画です。
現場経験(まつもと市民芸術館クリエイション公演の制作助手、松本のほかツアーもあり)を積み、地域に密着しつつ、社会と舞台芸術をむすぶ制作者の仕事を学びます。他劇場の事例もふまえながら、海外も見据えた企画制作を実践し、2026年5月開催予定のまつもと市民芸術館主催公演で公演制作を担っていただきます。